鳴沢氷穴・富岳風穴・竜宮洞穴


氷穴と風穴の違いについて

鳴沢氷穴と富岳風穴は共に、富士山の側火山である長尾山の付近から流れ出た溶岩によって864年に誕生しました。

どちらも玄武岩という黒色の溶岩でできています。そしてどちらも昭和4年に国の天然記念物に指定されています。

内部の気温や氷ができることなど、条件がほぼ同じの2つの洞窟。しかも、徒歩で20分程度の近い距離にある二つの洞窟の違いは「氷穴と風穴」だという事です。

文字から推測して、鳴沢氷穴は氷でできている洞窟、富岳風穴は風の力で作られた洞窟のようにイメージしがちですが、これは大間違い。

氷穴は縦穴、風穴は横穴の洞窟です。

つららが縦にできるようなイメージで「氷穴が竪穴」、風が横に流れるようなイメージで「風穴が横穴」と連想させると覚えやすいですよ

鳴沢氷穴

鳴沢氷穴(なるさわひょうけつ)は、縦穴構造の溶岩洞穴です。

観光用に整備はされていますが、洞窟内は薄暗く、腰をかがめながら進んでいく箇所もあり、ちょっとしたアクティビティです。

入り口でヘルメットを借りられますので、安全のためにも被りましょう。身につければ冒険心も湧いてきます。ヒールやサンダルで来てしまった方は長靴を借りましょう。

ヘルメットも長靴もどちらも無料です。

一歩足を踏み入れると、寒い、冷たい、滑る、の三拍子!一枚羽織るものがあると安心ですね。

トンネル内は頭上や側面が非常にボコボコしていて、ほんの不注意ですぐに頭をぶつけてしまいます。また、足元はとても滑りやすく階段も多いので、両手をフリーにできるようにリュックなどで行くことをおすすめします。

しばらく進むと溶岩トンネルに入ります。ここは溶岩にのみ込まれた巨木が、長い年月をかけて風化して作られた空洞。つまり巨木の中を歩いているような状態ですね。蟹さん歩きで進みましょう。1番低い所で高さは91cm。身長が高い方や腰痛持ちには難所になるかも!?

さらに奥に進むと両サイドに氷の壁が現れます。冷蔵庫がなかった時代に湖の氷を保存していた様子の再現です。

また、天井から滲み出た水滴によって作られた氷柱は、照明が当てられ幻想的な雰囲気。

冬の間に作られた氷柱が見られるのは、初秋ぐらいまで。天気やその年の気温で見られる時期は変わってきますが、天然物ならではですね。

入洞に関して注意点が1つ。

赤ちゃんをおんぶや抱っこして入ることができません。グルッと一周回っても15分程度なので、大人が交代で入ってもそれほどタイムロスにはならないです。ちなみにペット連れも禁止。

富岳風穴

入り口までは溶岩棚が見られます。

総延長201m、高さは8.7mの横穴構造の富岳風穴は、昭和30年前まで、カイコの繭が孵化しないように低温で保存しておくために使われていました。

夏でもとても涼しく、平均気温はなんと3度!冷蔵庫よりもひんやり。

風穴内に入るとまず目に飛び込んでくるのは「氷柱」です。天井からしみ出した水滴が長い年月を掛けて作り出した自然の芸術。夏でも溶けない氷柱が、いかに風穴が寒いかを証明しています。

暑い夏に訪れたら最高の涼になるでしょう。

さらに進むと、溶岩が固まる際にできた様々な形が見られます。

池状に広がった溶岩が固まってできた「溶岩池」

溶岩が固まる前に壁から剥がれてできた「溶岩棚」

冷えて固まる過程で押されてできた「縄状溶岩」

溶岩の動きがどのような状態だったのか、想像しながら見て周ると、より興味が湧きます。

もっと奥まで進むと、珪酸華(けいさんか)と呼ばれる光り苔の群生地に到着。

岸壁で青白く光る姿は、実に神秘的。洞窟内に住む目の無い微生物の餌になっています。

竜宮洞穴

竜宮洞穴はガイドマップ等であまり紹介されていない小さな洞窟ですが、知る人ぞ知る絶大なパワースポットになっています!

竜宮洞穴

竜宮洞穴   竜宮洞穴

この先に洞穴があります。

鳴沢氷穴や富岳風穴と同じ玄武岩で形成されていて、奥行きは60mほど。

かつてはこの洞窟で、干ばつの際に雨乞いの神事が行われていました。現在は国指定の天然記念物に選ばれています。

不整地な足場に気を付けながら洞窟を降りるように進んでいくと、豊玉姫命(とよたまひめ)を祀る祠があります。

竜宮洞穴

豊玉姫命は、記紀神話の「海幸彦と山幸彦物語」に登場する海の女神。

物語は、豊玉姫命が出産時に本当の姿(鮫)を夫である山幸彦に見られ、恥ずかしくなって産んだばかりの我が子を置いて海に帰るという悲しい話です。

時々、洞窟入り口に白くモヤが掛かっているように見える事がありますが、実は竜宮洞穴には白い竜が現れるという噂があります。

豊玉姫命は移動する時には龍に乗っていたとか、豊玉姫命の本当の姿は鮫ですが、牙やヒゲがある生き物とも言われているので、もしかしたら白いモヤは龍なのかもしれない、という話です。

実際には、洞穴の中には一年中、氷があり天然の冷蔵庫として利用されていた過去があるなど、外気温とは差があります。入口付近は冷気を感じることもあることから、この温度差がモヤを発生させているようです。


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