松本~上高地


松本城

長野県松本市にある松本城。天守群は昭和11年(1929)に国宝に指定され、連日国内外から多くの観光客が訪れる、松本市を代表する観光スポットです。

松本城創建年代については諸説ありますが、様々な見解から天守の築造は文禄2年〜3年ではないかと考えられています。このため平成5年(1993)には、「国宝松本城400年まつり」が開催されました。

戦国時代末期に建てられた「大天守(だいてんしゅ)」と「乾小天守(いぬいこてんしゅ)」、そしてこの2つを繋ぐ「渡櫓(わたりやぐら)」には、鉄砲狭間(てっぽうさま)や矢狭間と呼ばれる、鉄砲や弓を打つための小さな窓が、115カ所設置されています。

また、1階側面を外に張り出して、鉄砲を撃ったり石を落としたりする「石落」が11カ所設置されています。まさに戦国の世を考えた作りになっています。

それに対し、「辰巳附櫓(たつみつけやぐら)」と「月見櫓(つきみやぐら)」は、江戸時代初期の泰平の世に建てられました。そのため、戦う為の備えがほとんどありません。

40年という時の差と、歴史背景の違う時代に建てられた日本で唯一の連結複合式天守は、松本城の代表的な特徴の1つです。実際に訪れた時、歴史背景の違いを目で見て、肌で感じられるかもしれません。

黒い外観から、別名「カラス城」とも呼ばれていますが、実物を間近で見ると黒さが際立ちます。

そして五重の建物のように見えますが、実は六階建て。三階に「隠し階」または「暗闇重」と呼ばれる窓のない階が存在し、倉庫や避難所として使われていたそうです。城内は六階まで見学する事が可能、中に入ったら数えてみてください。

観覧料・大人610円・小中学生300円・小学生未満は無料(年末年始を除き無休)

城内は混雑緩和のために一方通行になっています。また、繁忙期には入場制限がかかることもありますが、屋根付きの場所でベンチに座って待つことができるので、暑い時期には有難いサービスです。

松本城は土足厳禁です。入り口でビニール袋が配られるので、それに入れて各自で持ち歩きます。

できれば、靴をリュックに入れて背中に背負うのがおすすめです。城内の階段は非常に急こう配で、手すりにつかまらないと上り下りが厳しいので、両手をフリーにできるリュックは重宝します。

荷物が多い場合は、見学前に松本城公園内に設置されているコインロッカーに預けましょう。

城内は要塞のため大きな窓が作られず、昼間でも薄暗く感じます。階段も急ですし、殿様や武士らは大変だっただろうなと想像してしまいます。昔は着物や袴を着ていただろうに、どのように日々暮らしていたのでしょう。

最上階の六階には、全ての側面に窓が付いていて松本市内を一望できます。他の階に比べて風が通るので気持ち良く外が見渡せます。どの方角にも遠くに山が見え、松本城が盆地内の平地に建てられている事が分かります。

大天守の後に月見櫓を見学すると、大きく吹き抜けていて開放感のある造りに、時代背景の違いを感じます。

松本城公園には「おもてなし武将隊」が現れます。忍者や武士の格好をして、観光客を楽しませてくれます。一緒に撮影してもらうと記念の1枚になります。

四柱神社

松本城から徒歩圏内、JR松本駅からは徒歩10分ほどの場所、松本市の街の中にある四柱神社(よはしらじんじゃ)は、全ての願いごとが叶う「願いごとむすびの神」として知られています。

天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)・・・神様の神様

高皇産霊神(たかみむすびのかみ)・・・物事を結ぶ神様

神皇産霊神(かみむすびのかみ)・・・人を結ぶ神様

天照大御神(あまてらすおおみかみ)・・・縁を結ぶ神様

四柱の神を祀られているので「四柱神社」。パワースポットとして有名です。

立地条件も相まって、平日でも地元の方や観光客など多くの方々がお参りに来ており、紅葉の時期に行くと、境内の紅葉が真っ赤に染まって出迎えてくれます。

創建時の社殿は明治21年の大火で消失してしまい、現在の社殿は大正13年に再建されたもの。

境内はそれほど広くはないので、のんびりとできる雰囲気。そして、鳩がたくさんいます。鳩の餌も販売されており、鳩を大切にしている事が分かります。

境内を散策すると、二本の松が根元で繋がっていることから「縁結びの松」と呼ばれる、ほっこりするような松の木が見られます。

さらに、「伊勢神宮遥拝所」も。一生に1度は訪れたい伊勢神宮ですが、遠くて参拝に行けない方のために建てられました。きちんと伊勢神宮がある西南方向に向いています。

四柱神社を訪れたら、これらのポイントも見て回ってください。

信州そば

長野県は、昼と夜の寒暖の差が激しく水はけの良い土地のため、昔からそば作りが盛んでした。きれいな水が出ていることも、美味しいそば作りに役立っています。

そば団子やそばがきといった形状で食べられていたそばを、打ち伸ばして包丁で細く麺状にカットし、私達がイメージするそばの形を作ったのは、長野県が最初だと言われています。

県内には戸隠そば(霧下そば)や開田そばなど、そばの名産地がたくさんあり、店舗数は日本一。松本市に観光に来たからには、信州そばも食べたいです。市内には沢山の蕎麦屋がありますが、地元の方にも人気の店は、間違いないはず。

「野麦」

売り切れ次第終了と言うこともあり、連日大行列。特に人気なのがざるそば。地粉のみを使った九割そばで、ザルに盛っての提供は見た目的にもGoodです。

松本市を代表するそば屋なのも納得。

「そば屋 五兵衛」

長野県産の玄蕎麦を、店主が石臼で丹念に自家製粉にしています。そばはコシが強く、香りが豊か。そばつゆと、海洋深層水の塩で頂きます。

薬味のわさびは地元穂高産。松本城北側で、徒歩5分という立地も魅力的。

「浅田」

松本城からは約1.2㎞の距離。メニューは、ざるそば、十割そば、温かいきのこそばの3種類のみ。そばを美味しく味わってもらいたいからと、大盛りも行っていません。それだけそばに自信があるということでしょう。

食べてみると納得!すする度に鼻からそばの香りが抜けていきます。

「もとき 開智店」

松本城のお堀の裏手にあります。蕎麦の実の中心部分の粉だけを使っているため、半透明で風味もさっぱり!皇族も利用するお店で知名度は高く、高級感のある吟醸造りのそばが頂けます。

この他にも、松本市内には隠れた名店が点在します。松本城見学の後の食事は、信州そばで決まりです。

蜂の子などのグルメ

山国である信州の貴重なタンパク源として、昔から蜂の子などの昆虫が食べられていました。主にクロスズメバチの幼虫やイナゴ、カイコ、サザムシなど。

甘露煮や佃煮にして食べることが多く、今でも信州珍味として缶詰や瓶詰めにされて販売しています。

かつて、長野県では「蜂追い」が子供の遊びだったほど。現在は大人が趣味として、クロスズメバチの巣を発見したり採取したりすることを楽しんでいます。

しかし、調理しても見た目はそれほど変わらず。リアルさから口にするのが躊躇してしまいますが、食べてみると甘くて美味しいです。特に蜂の子はとてもクリーミー。信州長野の高級珍味です。これもまた信州。信州の味覚を味わってみませんか。

上高地

長野県松本市にあり、標高約1,500mの山岳景勝地である「上高地」は、年間150万人のも観光客が訪れます。中部山岳国立公園の一部として、国の文化財(特別名勝・特別天然記念物)に指定されており、ペット等の持ち込みは禁止。

そして、年間を通して上高地へのマイカーの乗り入れは禁止されています。

松本市方面から行く場合は「沢渡(さわんど)駐車場」、高山市方面からは「平湯(ひらゆ)駐車場」に止めて、バスorタクシーに乗り換えて上高地まで行きます。

駐車料金はどちらも、普通車1日600円。

東京方面から向かいたい場合、新宿から直行バスが運行されています(さわやか信州号)。予約が必要ですが、電車でアクセスした場合のような乗り換えが不要ですから、おすすめです。

上高地の人気見所ポイントは3つ。「河童橋」と「大正池」と「明神池」です。

河童橋と大正池にはシャトルバスの停留所がありますが、明神池までは徒歩で行かなくてはなりません。

全てをゆっくり観光したい場合は、往復の歩く時間やシャトルバスの運行時間を確認して、朝早くから訪れるのがベスト。観光シーズンになるとバス待ちの大行列が発生するので、時間に余裕を持つことが大切です。

また、上高地には宿泊施設があるので、一泊旅行もオススメ。宿泊者ならではの上高地が見られます。朝もやの大正池、穂高が朝日を浴びる神々しい姿、夜には満天の星…。

上高地河童橋

河童橋は上高地の代表的な観光スポットで、上高地バスターミナルから300m、徒歩5分の場所にあります。

梓川に架けられたカラマツ製の吊り橋で、全長37m、幅3.1m。

焼岳や明神岳を背景に河童橋を撮影すると、まるで絵葉書のような1枚が写し出されます。上高地のシンボルとして、パンフレットや旅行雑誌に掲載されているので、橋の名前は知らなくても、きっと一度は見た事があるあるはず。

何故、河童橋と言うのか、それは諸説あって詳しいことは分かっていません。ただ、印象に残りやすいネーミングです。

河童橋はとてもしっかりと作られていますが、実際に大勢の人たちが渡っていると、ちょっと揺れます。そこが吊り橋らしくて魅力的。

橋の上から眼下に目をやると、青く澄んでいる梓川には鴨が泳いでいて、実にのどかな風景。梓川は川岸まで行けるので、川に手を入れて自然の冷たさを感じてください。夏でもキンっとなる冷たさです。

大正池

駐車場から上高地バスターミナル行きのシャトルバスに乗り、最初の停留所が「大正池」。

風のない日には鏡面のような湖面に、焼岳や穂高連峰の映り込みがクッキリと。空の青と調和して、それはもう息を呑むような美しさです。

もし、時間の都合でどうしても大正池の見学ができない場合、バスの車窓からもその姿を少しだけ眺めることができます。行きは左側の席、帰りは右側の席の確保必須です。

上高地バスターミナルや河童橋から大正池まで歩いた場合は約3km、1時間ほどかかります。道はほとんどが平坦で歩きやすいですが、雨上がり後は水たまりが発生するので、トレッキングシューズだと安心です。

大正池は、大正04年(1915)、焼岳(やけだけ)の大噴火により梓川がせき止められて形成されました。深さ3.9m、周囲2.4kmほどあり、現在は大正池が誕生した当初よりも2分の1ほどに縮小しています。

大正池には4つの沢が流れ込んでいますが、このうちの2つが、雨が降るたびに大正池に土砂を運び込んでいるのです。

現在も縮小を続けている大正池を守るために、毎年冬には、浚渫(しゅんせつ=水底をさらって、土砂などを取り除くこと)を行っています。

これは美しい大正池を守るためでもありますし、東京電力が大正池から出水して「霞沢発電所」で発電を行い、人々の暮らしを守るためでもあります。

明神池

明神岳の土砂崩れによって、梓川の支流の沢が塞がれて誕生した明神池。穂高神社奥宮境内にあり、神域になっています。

神社の敷地内にあるため、拝観料300円が必要ですが、訪れる価値は十分です。

明神池はひょうたんの形をしていて、一の池と二の池に分かれており、それぞれ湖面に映る木々がとても神秘的。新緑の季節には、緑の世界に包まれる感覚になります。

池の中には岩や浮島があり、それもまた絵になります。

一の池は恋愛の神様がいるパワースポット、二の池は仕事や金運のパワースポットになっています。少しの時間、時を忘れて明神池の魅力に惹き込まれている間に、パワーが充電されています。

かつては三の池もありましたが、残念ながら土砂の流出で埋もれてしまいました。どんなパワースポットだったのでしょうか。

明神池には徒歩で行く必要があります。上高地バスターミナルから明神池までは約3km、60分ほどの距離。

「梓川右岸道(約70分)」と「梓川左岸道(約10分)」の2つのルートがあり、どちらの道もきちんと整備されていて歩きやすくなっています。基本的には平坦な道ですが、梓川右岸道の方が、若干アップダウンがあります。

往復約6kmの距離を歩きますから、履き慣れたスニーカーで行く方が良いです。また、帰りのバスの時間を計算して、乗り遅れないようにして下さい。

道の途中には小川がたくさん流れていますし、運が良ければ野生動物にも会えるかも。

上高地は、全てがフォトジェニックな空間。これだけの美しい自然を守るには、交通規制も必要だと納得できます。これからも日本を代表する美しい風景を守り続けていきたいですね。


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