軍艦島


平成27年(2015)7月5日 世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産 ~製鉄・製鋼、造船、石炭産業~」として、正式に登録された「軍艦島」は長崎港から沖合19kmの位置にある小さな島です。

正式名称は「端島(はしま)」と言いますが、日本最古の7階建て鉄筋コンクリートの旧住居が立ち並び、島の周囲が塀で囲われている様子が軍艦「土佐」に似ていることから「軍艦島」と呼ばれ、いつしかこの呼び名が定着しました。

軍艦島が誕生したきっかけは文化7年(1810)頃の石炭の発見です。その後、三菱社が端島及び炭鉱区域を買い取り、本格的に石炭の発掘が始まりました。

地下1,000m以上の深さまで掘られた巨大な坑道からは良質な石炭が採取され、軍艦島には従業員とその家族がどんどん増えていきました。その結果、住居が建てられ学校や病院ができ、映画館や理髪店まであったほど1つの完全な都市として誕生したのです。

昭和35年(1960)の人口は5,267人で、当時の人口密度としては世界一!周囲1.2kmの小さな島なので、建物と建物の間は非常に狭く、まるで絵に描いたように密集しています。

しかし、時代と共に主要エネルギーが徐々に石油へと移行していき、昭和49年(1974)1月15日に端島炭鉱は閉山。84年の歴史に幕を閉じます。その3ヶ月後には端島から住民全員が出ていき、それ以来現在までずっと無人島になっています。

手付かずのまま廃墟の島となった軍艦島は、長崎市の所有となり一部を観光することができるようになりました。

これほどまでに独特な観光地は世界的に見ても珍しく世界遺産として登録されました。海外からの観光客も多数訪れています。

軍艦島上陸の際の注意点

  • サンダル・ハイヒール・草履・かかとの高い靴での上陸は禁止。
  • 雨天時の傘の使用は禁止。(合羽を持参すること)

軍艦島内には、トイレ・電気・水・自動販売機がありません。アルコール以外の飲み物は持ち込み可能ですが、ゴミは全て持ち帰りましょう。見学途中、トイレで船内に戻ることのないように気を付けて下さい。

夏の軍艦島は想像以上に暑い環境です。日傘が使用できないので帽子があると良いです。また白っぽい歩道は下からの反射も強かった記憶があります。体力に自信がなかったり具合が悪い場合には、船内で待つこともできます。決して無理はしないようにしてください。

軍艦島へのアクセス

軍艦島へのアクセスは上陸が許可されている5社が運営するクルーズ船に乗船する必要があります。(2018年10月現在)

5社のうちの4社は長崎港から出港しているため、路面電車を利用して長崎市内を観光している方はこの4社から選ぶのがおすすめ。

  • 軍艦島コンシェルジュ(株式会社ユニバーサルワーカーズ)
  • 軍艦島クルーズ株式会社
  • やまさ海運株式会社
  • 株式会社シーマン商会

どのクルージング会社も1日2便の運行で乗船時間は30~40分程度。ただし、クルージング会社によってそれぞれ乗船料金や船の大きさ、軍艦島への乗船率、ツアーガイドの話の面白さや知識の豊富度などが異なります。

船の大きさによって酔いやすさが変わってきますが、軍艦島周辺は波が高くスタビライザー付きの船でもそれなりに揺れますので、心配な人は酔い止めを準備しておいた方が良いです。

気を付けるポイントは、同じ長崎港でもそれぞれ乗船場所が異なります。ご自身が予約したクルージング会社と乗船場所を予約時にしっかり確認してください。

残りの1社(第七ゑびす丸)は、市内中心部から車で1時間ほどの距離にある野ノ串港からの出港になります。

港に向かうまでが少々遠いですが、その代わりのメリットとして軍艦島までの乗船時間は約10分と短く、船酔いが心配な人にはおすすめ。地元の漁師の漁船を利用するため、本格的なツアーガイドを望む方にはあまりおすすめできませんが、乗船人数が少ないので漁師(船長)さんに質問すれば、色々と教えてもらえるようです。

軍艦島 上陸体験記

軍艦島コンシェルジュ(株式会社ユニバーサルワーカーズ)を利用したツアーの体験記を記載します。

軍艦島の細部の写真が記事したに掲載してあります。

集合・受付

集合場所

受付後、出発時間まで桟橋近くで待機

乗船の船「マーキュリー」※橋の左奥

乗船中

軍艦島までの航路

出港後に左手に南山手、東山手の旧外国人居留地、世界近代化産業遺産暫定リストに載った旧グラバー邸が見えてきます。

右手には造船所。

ハンマークレーン

迫力のある大型の客船で作業している様子を観ることができました。造船場は長崎ならではの景色。圧巻でした。

その先に通るのが女神大橋。2006年に完成したこの端で長崎半島側の「女神」と神の島側の「男神」が結ばれたのだそうです。

軍艦島が見えてきました

軍艦島周辺をクルージング

軍艦島コンシェルジュのツアーでは上陸前に軍艦島の周りをクルージングしてくれるため、十分な撮影時間があります。もちろん船の右側に座っていても左側に座っていても見えるように船を走らせてくれるので撮影に夢中になってしまいます。

軍艦島を西側から見た景色が軍艦「土佐」に似ていると言われているそうです。

上陸

ドルフィン桟橋に船が近づき、いよいよ上陸です。

この日は海況も良く無事上陸することができました。

見学

見学中はなるべくガイドさんの側にいて建物や当時の話を聞くことがおすすめです。

実際に軍艦島に住んでいた経験を持っているガイドさんは2人いるのだそうです。(全ての会社含め・2014年当時)

今回のガイドさんがその1人で、当時の状況を詳細に説明してくれたのがとても面白く興味深かったです。

どの様な生活をしていたか、子供が大人のデートを見かけると島中の噂になってしまったり、作業中の事故で亡くなった人には地上に運ぶまで声をかけ続けその魂が決して坑道に残らないようにとの配慮があったこと等など。当時の生活が心豊かであった印象を受けたお話でした。

約1時間後、軍艦島を後にします

帰港

下船後、船の写真を撮りました。

写真は2014年10月のもの。現在は他の船も導入され当クルーズ会社のプランにはプレミアムチケットもあるようです。

台風の影響や風速、波の高さなどの条件が悪いと上陸できず周遊のみということもあるので柔軟な旅の計画が必要かもしれません。

望遠で撮影した写真

以下には、望遠レンズでクルーズ船から撮影した写真を掲載していきます。B’zのPVや進撃の巨人の映画でロケ地になるなど独特な雰囲気を見ることができました。


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