新しいカメラを買って撮影にも慣れてくると、次のレンズが欲しくなります。
レンズを自由に変えて撮影するのも、一眼レフやミラーレス一眼の醍醐味です。
しかし、交換レンズは決して安い買い物ではないので、何を買うか慎重に悩むところです。
このページでは、2本目のレンズの選び方から、候補となるレンズの特長まで、説明していきます。ぜひレンズ選びの参考にしてください。
これから何を撮りたいか考えてみる
次のレンズを選ぶ大前提として、これからの写真ライフの中で、どんな写真、どんな被写体を撮っていきたいのか考えてみます。
ある程度、最初のレンズで経験を積んで、なんとなく自分の得意な画角や被写体が分かるようになってきたのではないでしょうか。もっとこういう写真が撮りたいのに!という欲求も生まれているかもしれません。
今後、メインで撮影していきたい被写体によって選ぶレンズが変わってきます。
大自然の中で鳥や野生動物を撮影するなら「望遠レンズ」、壮大な風景を撮りたいなら「広角レンズ」がおすすめです。
また、数日の旅行の時に撮影するのか、日帰りや近所で撮影するのかによっても選ぶレンズは変わってきます。例えば、旅行用のレンズは多少明るさ等のスペックが落ちたとしても広角から望遠までを広くカバーできる望遠レンズで軽めのもの、もしくは1本で汎用性の高いものが良い、等です。
自分が撮りたいものやシーンを明確にしておくことで、最適なレンズを選ぶことができ、今後も長く役に立ち、愛用できるようなレンズを選べます。また、量販店やカメラ専門店の店員さんに相談する場合にも、的確な回答を得られるメリットがあります。
フルサイズ対応レンズも視野に
交換レンズの大前提として、メーカー毎に「マウント」と呼ばれる、カメラとレンズを接合する部分の規格が異なります。その規格によって、そのカメラで使用できるレンズが決まっています。
例えば、ニコン用のレンズをキャノンのカメラで使うことは出来ません。
また、カメラのセンサーサイズによっても、対応しているレンズが異なっていて、APS-C用のレンズをフルサイズで使用することは出来ません。
正確には使用はできるのですが、画角の違いから大きさが合わず、画像の端が切れる「ケラレ」という現象が発生してしまいます。
あとでトリミングをして使う前提であれば問題ありませんが、あまりおすすめはできません。逆にフルサイズ用のレンズの場合は、問題なくAPS-Cサイズのカメラで使用することができます。
2018年には、多くのカメラメーカーからフルサイズミラーレス一眼が発表され、それと同時に、新しいマウントシステムが発表されました。それによって現在は、様々なマウントシステムが存在します。
各メーカーの主なマウントシステムを下記にまとめました。
メーカー | マウント |
ニコン | Fマウント、Zマウント(新マウント) |
キャノン | EFマウント、RFマウント(新マウント) |
ソニー | Eマウント |
ライカ(パナソニック、シグマ) ※1 | Lマウント |
ペンタックス | Kマウント |
※1 パナソニックとシグマがライカと協業してLマウントの製品を開発
現在、APS-Cサイズの一眼レフなど使っている人は、今後、フルサイズ一眼レフに移行するかどうか、ミラーレス一眼にするかどうかも含めて検討することをおすすめします。
また、同じメーカーのマウントでも、カメラによって使用できるものとできないものがあるので、レンズを選ぶ際には、自分の持っているカメラがどのマウントシステムに対応しているのかを必ず確認しましょう。
単焦点レンズがおすすめ
最初に選ぶべきレンズのページで、最初のレンズとしておすすめしたのは「標準ズームレンズ」でした。それを踏まえたうえで、2本目のレンズでおすすめしたいのが単焦点レンズです。
では、なぜ2本目のレンズに単焦点レンズをすすめるのかについて説明していきます。
高い描写力
単焦点レンズは明るいレンズが非常に多いことが特長です。
ズーム機能が無くレンズ内部の構造が非常にシンプルなため、価格が安いレンズが多いことも特長のひとつです。F1.4やF1.8といった非常に明るく、描写力の高いレンズを手頃な値段で手に入れる事ができます。
そしてその描写力ですが、F値が小さく明るいおかげで暗い場所でも綺麗な写真を撮ることができます。F値が小さいと明るいだけでなく、背景をボカした写真を撮り易くなります。
単焦点レンズは、そのとろけるようなボケを活かした表現が非常に魅力的です。
また、単焦点レンズは写真の周辺が歪む「レンズの収差」が起きにくいことも特長です。ズームレンズの場合、広角域で撮影するとこの収差が起きやすいですが、単焦点広角レンズで撮影した場合は収差が起こりにくいので、歪みの少ない写真を撮ることができます。
写真を撮る技術が上達しやすい
単焦点レンズは、自由に焦点距離を変えることが出来ないので、自分の撮りたい構図にするためには、自分が動いて被写体との距離を調整しなければなりません。
自分で動くようになってくると、次第に被写体との距離感を掴めるようになってきます。この被写体との距離感は、写真撮影では基礎とも言える重要な感覚です。
この距離感が掴めていないと、適切な構図の決定やレンズの選択、設定ができないのでいつまで経っても自分の撮りたい写真を撮ることは出来ません。
色々と試行錯誤する中で、被写体に近づくための工夫をしたり、構図を良く考えたりするようになるので、自然に写真撮影の技術が上がっていきます。
以上のような理由から、2本目に選ぶレンズには単焦点レンズをおすすめします。
用途を考える
2本目に選ぶべきレンズは「単焦点レンズ」をおすすめしますが、単焦点レンズにも焦点距離によって広角タイプや望遠タイプがあります。どの焦点距離が良いかを選ぶには、そのレンズの用途を考えます。
1本目のレンズで様々な写真を撮影している間に、自分の撮りたいものが何となく見えてきたのではないでしょうか。撮りたい写真を撮るためにはどの焦点距離がベストなのか、焦点別にレンズの特長を解説していきます。
単焦点標準レンズ
最初に選ぶべきレンズで紹介したように、標準レンズは非常に汎用性の高いレンズです。その中でも特に、単焦点標準レンズは1本は持っておきたいレンズです。
自分の見たままの景色を、より鮮やかに切り取ることのできる高い描写力が特徴で、「単焦点標準レンズに出会って写真の世界が変わった」という人が多く存在するほど、繊細で素晴らしい写真を撮ることができるのが最大の特徴です。
最初のレンズで単焦点標準レンズをすすめる人が多いのも、こう言った理由があるからでしょう。
フルサイズの一眼レフやミラーレス一眼なら特に、単焦点標準レンズの描写力を思う存分楽しむことができるのでおすすめです。
ただし、標準ズームレンズを持っている場合は、撮れる画角に変化がないということも考慮が必要です。
単焦点望遠レンズ
標準レンズの次に紹介するのは「単焦点の望遠レンズ」です。望遠レンズは圧縮効果という、遠くのものを近くに引き寄せたように撮影できることと、強烈なボケが特徴です。
被写体全体を撮るのではなく、大きく寄って一部を切り取るような写真に向いているレンズです。圧縮効果によって被写体と背景の遠近感を少なくしたり、背景をボカしたりすることで、背景を整理できるというメリットもあります。
望遠レンズは焦点距離によって、「超望遠」「望遠」「中望遠」と区別されます。
まず超望遠ですが、フルサイズで300mm以上の焦点距離を持ったレンズを指します。
超望遠レンズの場合、かなり遠くの被写体を撮ることができるので、飛行機や野生動物などを遠くから撮る撮影に向いています。また、子供の運動会やスポーツ観戦などで、カメラを設置できる場所が限られている状況でも、遠くから被写体をしっかり撮影できるので超望遠レンズが威力を発揮します。
次に望遠レンズですが、フルサイズで200mm程度の焦点距離を持ったレンズです。
超望遠レンズほどではないですが、ある程度遠くから撮影することができるので、超望遠レンズと同じように使えます。また、超望遠レンズよりも軽く小さいことも特徴です。
超望遠レンズほどの焦点距離は必要ないし、大きすぎるレンズも持ち歩きにくいという人には望遠レンズがおすすめです。
そして、中望遠レンズですが、こちらは100mm程度の焦点距離を持ったレンズです。
この中望遠レンズは人物のポートレート撮影に向いています。被写体との間にある程度の距離を置くことができるため、自然な雰囲気で撮影できるというメリットがあります。
望遠レンズはフルサイズ機よりもAPS-Cサイズの一眼レフやミラーレスと相性が良いです。
APS-Cサイズはフルサイズの焦点距離の約1.5倍の焦点距離になるため、400mmの超望遠レンズがAPS-Cサイズだと600mmという焦点距離になり、かなり遠くのものを撮影することができます。
そのため、プロでもメインカメラはフルサイズに標準レンズや広角レンズを装着し、サブカメラはAPS-Cサイズに望遠レンズを付けて2台を使い分けるという運用方法もよく行われています。
単焦点広角レンズ
単焦点広角レンズは、その名の通り焦点距離が固定されている広角レンズです。広い画角を撮ることができるので主に風景写真などに向いています。
通常の広角レンズとの違いは、単焦点の特徴である「明るさ」と「描写力の高さ」。また、ズームレンズなどは広角域で撮影すると歪みが大きくなりますが、単焦点広角レンズは歪みが少なく撮影することができます。
そして、望遠レンズに比べて軽くコンパクトなことから、様々な場所に持ち出しやすいというメリットもあります。
雄大な景色の写真をより高画質で撮影したい人にはおすすめのレンズです。
マクロレンズ
最後に、広角や望遠レンズとは違う、少し変わったレンズであるマクロレンズを紹介します。
マクロレンズですが、小さなものを大きく写すことを目的としたレンズです。
通常のレンズの場合、被写体に寄りすぎるとピントが合わずシャッターを切ることができませんが、マクロレンズは最短撮影距離が短いため、被写体に極限まで近づいて撮影することができます。
また「最大撮影倍率」という被写体の実際の大きさと、レンズを通して写した時の大きさの比が他のレンズよりも大きいので、被写体を大きく撮影することができます。
花や昆虫など小さなものを大きく写したい、ミクロの世界を写したいという場合に活躍するほか、ポートレート撮影でも綺麗な写真を撮ることができる、意外と万能なレンズです。
レンズを増やして、自分の世界を広げよう
2本目のレンズの選び方について解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
レンズを交換しながら様々な撮影に挑戦できることが、一眼レフやミラーレス一眼の醍醐味です。
撮りたいものやシーンによって常に最適なレンズは変わってくるので「絶対にこれが正解」というものは存在しません。
2本目のレンズによって、写真の世界が大きく変わってくるといっても過言ではありません。自分だけのおすすめのレンズを見つけて、ぜひ写真の世界を広げていってください。
余談:管理人のレンズ
初めて本体と一緒に買ったのは標準ズームレンズ(24-105mm)でした。店員さんに「初めてならコレ」と薦められて購入したものです。
全く写真の知識もカメラの知識もないまま買いに行ったので、本体は20万円くらい安い機種を薦められましたが、プロアマ程度のものを(意地?で)選び、レンズもそれに見合ったものを買って、これから上達するのだと息巻いていました。
その直後は初めての一眼レフに慣れることで精一杯だったと思います。
(慣れもしない内に買った)2本目のレンズは広角レンズでした。ベトナム・カンボジアへの旅行が決まり、広大な遺跡を撮影するには広角レンズだと、また息巻いて16-35mmのレンズを購入しました。この旅行をきっかけに、大きく成長したことを覚えています。
カメラが得意な友人と同行したのも大きいですが、アンコールワットを目の前にして「撮りたい!」「残したい!」の情熱が成長に繋がったとも思います。また当時日本でもインテリアで流行していた「アジアン」テイストなホテルも、備品も雑貨も全てが素敵に思えました。被写体がとても充実していた旅行だったと今でも思います。
そして次に購入したのが、70-300mmの望遠レンズ。とても重い白いレンズです。ここで望遠レンズにドハマリしました。まずはハワイの木陰で休む鳩を、肉眼では見えないような建物の細部の飾りを、少し離れたところで楽しそうにお喋りしている友人の素の笑顔を(盗撮。笑)、それらの撮影が楽しくて楽しくて、望遠レンズの魅力を体感していました。
海外旅行には、広角レンズと望遠レンズのみを持っていきます。気付けば、標準ズームレンズは全く使わず、随分偏った使い方をしていますが、自分の撮りたい写真、シーンを知るとはこのこと何だと実感しています。
誰のアドバイスも、店員さんに勧められる人気レンズも、違うと思ったら買わなくて良いと思います。自分だけの写真が撮れる優秀なレンズは必ず見つかります。素敵な写真ライフになりますように。
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