風景を撮るコツ


旅先の景色、紅葉、観光スポットを撮影したい

その場所でしか撮れない風景や、絶景の撮影を目的に旅行するいう人も多いはず。

旅先で出会った景色は、四季折々でも表情を変え、全く同じ風景に出会うことはあまりできません。

そんな一期一会の風景を写真に残せれば…!そして、誰かに見てもらいたい!

この記事では、旅先の風景を素敵に撮るコツを紹介します。

風景撮影の基本

まずは風景撮影を撮る際の基本的なテクニックです。

光の向きの違い

風景撮影に限った事ではないですが、被写体に対する光の向きによって写真の印象は全く変わります。

また、撮る風景や被写体によってもお勧めの光の向きが変わってきます。実際にどのように変わるのか、光の種類も交えて見ていきましょう。

もっともスタンダードな順光

風景撮影でもっともスタンダードな光の向きは、被写体の正面から光が当たる「順光」です。

順光で風景を撮影すると、景色の色を綺麗に写すことができます。ですが影ができないため、立体感がなく平坦な写真になりやすいというデメリットもあります。

また、撮影者の影が入りやすくなるので撮影の際には注意しましょう。

海の風景を順光で撮影をすると海の色が綺麗に見えます。また、紅葉の山々を広角レンズなどで撮る場合も、赤や黄色のコントラストがよく表現できるのでお勧めです。

影が印象的なサイド光

被写体の横から光が当たることを「サイド光」と言いますが、サイド光は影が綺麗に出るため、自然で立体感のある写真を撮ることができます。山の風景などをダイナミックに撮るならサイド光がおすすめです。

幻想的な雰囲気の逆光

最後は被写体の後ろ、カメラの正面から光が当たる「逆光」です。

光が被写体の後ろからから当たることによって、ふんわりとした幻想的な雰囲気の写真になります。ただし、逆光は被写体が暗く写りやすいというデメリットがあります。(このデメリットの解消方法は記事の後半で説明します)

逆光はふんわりとした印象になるので、人物撮影に向いています。また、被写体をあえて黒く写すことでシルエット写真を撮ることもできます。

基本のカメラの設定

光の向きによる写真の違いを説明しましたが、次は風景を撮影するときの基本的なカメラの設定を説明します。

カメラのモードの設定

風景写真では、全体にピントを合わせたり、一部の被写体に寄ったりして撮影するため、絞り優先モードがお勧めです。

自信が無い場合は、設定をカメラに全て任せるAUTOモードでもOKです。ただしAUTOモードにした場合は、ISO感度や絞り、ホワイトバランスなど、ほとんど全ての設定を変えることができないので、平凡な写真になりがちです。

ISO感度

風景を撮るときのISO感度の設定は、100~400の間が基本です。晴れた日はISO感度を低めに、曇りや日陰で暗い場合はISO感度を高めの、400に近い値にします。

森の中や夕方など明るさが足りず、シャッタースピードが遅くなって手ブレが発生してしまう場合は、ISO感度をAUTOに設定しましょう。慣れないうちはISO感度を常にAUTOにしておくのもよいです。

ホワイトバランス

写真の色味を調整する設定をホワイトバランス(WB)と言いますが、基本的にはAUTOで問題ありません。AUTOでもある程度綺麗な写真が撮れます。

しかし、WBを適切に設定すると、より素敵な写真を撮ることもできます。例えば夕陽を撮る際、「夕景」に設定すると、夕陽のオレンジ色が綺麗に表現できます。一度試してみてください。

紅葉を鮮やかに撮影するには

ここまでで、風景写真を撮影するための基本的なテクニックを説明してきました。次は自然風景の中で、もっとも鮮やかな風景ともいえる紅葉をより鮮やかに撮影する方法を説明します。

自然が創り出す黄色や赤のグラデーションは、人には創り出すことのできない素晴らしい景色です。そんな鮮やかな紅葉を、見た時の感動のまま綺麗に撮影するにはどうすれば良いのでしょうか?

紅葉している山々など、広い範囲を撮影する場合

焦点距離が短い広角レンズで撮る

紅葉している山々など広い範囲の景色を撮影する場合の焦点距離は、なるべく短い(小さい)値がおすすめです。焦点距離が小さくなると、より広範囲を写すことができ、ダイナミックで壮大な風景写真になります。

カメラの種類によって違ってきますが、16mm~35mm程度の広角レンズがお勧めです。

絞り(F値)はF8程度に

レンズの絞り(F値)の設定は、風景全体にピントを合わせる必要があるためF8程度にします。

あまりF値を小さくしてしまうと、ピントが全体に合わず、ぼやけた写真になってしまうので注意しましょう。

ちなみに全体にピントを合わせることを「パンフォーカス」といいます。

順光で撮る

記事の前半でも少し触れていますが、紅葉している山々を撮影する際の光の向きは順光がおすすめです。紅葉の色が綺麗に表現されてメリハリのある写真を撮ることができます。

またその際、カメラのピクチャースタイル設定を「風景モード」や「ビビット」にすると、より鮮やかな写真になります。ただし「ビビット」は鮮やかになりすぎてしまい、「色つぶれ」という現象が起きてしまうことがあるので、撮れたものを確認しながら撮影してください。

※「ピクチャースタイル」はニコンでの呼び方です。メーカーによって呼び方が異なります。下記で確認してください。

ニコン ピクチャースタイル
キャノン ピクチャーコントロール
ソニー クリエイティブスタイル
オリンパス 仕上がり
パナソニック カスタムイメージ
ペンタックス フォトスタイル

紅葉の葉などをアップで撮影する場合

焦点距離が長い望遠レンズで撮る

紅葉の葉など一部をクローズアップして撮影する場合には、焦点距離の長い(大きい)望遠レンズを使うと素敵な写真が撮れます。

絞り(F値)はなるべく低い値で

望遠レンズを使って撮影する場合、F値はなるべく小さくします。程よいボケが出て幻想的な写真を撮ることができます。

クローズアップ写真を撮る場合、背景も工夫してみましょう。

例えば、青空をバックに紅葉を撮ると、青い背景に赤い紅葉が映える綺麗な写真になります。湖をバックにすれば湖やその際を歩く人がボケていても場所の情景が浮かんできます。向こうに白いビル群があると都会の雰囲気が良く分かります。

紅葉を撮るだけでも、背景を色々変えることによって様々なバリエーションの写真になります。

逆光で撮る

紅葉の葉などのクローズアップ写真を撮る際は、ぜひ逆光で撮ってみてください。

紅葉した葉に光が透けて見えたり、背景に光が玉のようになる「玉ボケ」と呼ばれる写真になったり、他の光では撮ることのできない神秘的な写真を撮ることができます。

フィルターを使ってより鮮やかに撮影する

一眼レフやミラーレスカメラのレンズには「フィルター」と呼ばれるものを取り付けることができます。数あるフィルターの中でも、「PLフィルター」は被写体の色を強調する効果と、光の反射を取り除く効果があるため、紅葉写真をより鮮やかに撮影できるアイテムです。

PLフィルターは「偏光フィルター」とも呼ばれていますが、これを使うと、映し出される景色がまったく違ったものになるので、ぜひ使ってみてください。

アングルを決めるコツは?

風景写真を撮る際、どんなアングルで撮ったら良いか迷うことが多いです。そんなときは「基本の構図」を元に決めると良いです。

風景写真を撮影する際の基本となる構図を3つほど紹介します。風景写真以外でも基本になるのでぜひ参考にしてください。

三分割法

風景写真でもっとも基本の構図です。画面の縦横をそれぞれ三等分にし、その線が交わった部分に被写体をおく方法です。絵画などでもよく使われる構図で、三分の一の法則や黄金比構図ともいわれています。

「黄金比」と呼ばれるように、この構図は人間が一番美しいと感じる構図だといわれており、風景写真だけではなく、色々な被写体に利用することのできる万能な構図です。

この構図での撮影は、カメラのファインダーにガイド線を表示しておくと位置を決めやすくなります。

対角線構図

この構図は、画面の角と角を結んだ対角線上に被写体を配置するという構図です。

流れる川や木々などを対角線上に配置することで、躍動感のある写真を撮ることができます。

三角構図

三角構図は、奥行きや高さを表現することのできる構図です。

高い木や灯台など、高い建物がある風景を撮るときにこの構図を使うとダイナミックで迫力のある写真を撮ることができます。

人物を入れて風景を撮る時のコツは?

旅行先では人物を撮るシチュエーションも多いです。最後は人物を入れて風景を撮るコツについて説明します。

光の向き

人物を撮影する際は「逆光」がお薦めです。光が髪の毛などに当たり、ふんわりとした、やわらかい写真を撮ることができます。

順光での撮影のほうが設定は簡単ですが、ごくありふれた集合写真のような写真になることが多いので、逆光の方が印象的な写真になります。

ただし海など背景が明るすぎる場所で、人物を逆光で撮ると、明るくなりすぎて背景がぼやけた印象の写真になってしまうので、そのような時は場所や角度を変えるなどして光の向きを調節してください。

逆光で人物の顔が暗くなってしまう時の対処法

逆光で人と風景を撮影した際、人物の顔が暗くなりすぎてしまう時は「フラッシュ」を使って撮影します。

フラッシュが強すぎたり、うまく明るさの調整ができない場合、さらに、カメラの機能のひとつ「露出補正」を使います。

露出補正はマイナスに補正すると写真が暗くなり、プラスに補正すると明るくなる機能です。逆光で撮影をする場合には、プラスに補正をしましょう。

露出補正機能とフラッシュを使うことで、逆光でも人物の顔を明るく撮ることができ、なおかつ背景の風景も綺麗に撮ることができます。

慣れない内は数枚設定を変えて撮影すれば、状況と設定の感覚が掴めるようになります。

思い出を最高の1枚に

旅先で風景を撮影するコツを説明しましたが、いかがだったでしょうか。

設定と構図を変えることで、写真のクオリティは格段に良くなります。きっと旅行誌やパンフレットに載っているような、イメージ通りの素敵な写真が撮れると思います。

旅先で出会った風景や名所など、心に残る景色をぜひ写真に残してください。世界に1枚だけの素敵な写真が撮れるはずです。


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