夜景や星空を撮る
旅行先で出会ったイルミネーションや街の明かり、真っ暗な中に光輝く満天の星空と大自然など、夜には昼間とは違った幻想的な世界が広がっています。
しかし夜景は普段と同じように撮影しても、うまく撮ることはできません。
夜景や星空の撮影に挑戦してみたけど「思い通りの写真にならない。」という人も多いようです。
この記事では、夜景や星空を綺麗に撮影する方法やコツを紹介していきます。一度覚えてしまえば、誰でも素敵な夜景写真を撮影することができるので、ぜひ参考にしてください。
夜景撮影は意外に簡単にできる
夜景撮影は難しいと思っている人も多いのではないでしょうか。確かに暗いと手ブレしやすいため、昼間よりも撮影の難易度は若干高くなります。
しかし、夜景撮影も昼間の撮影と同じように、基本的なことを押さえておけば簡単です。
夜景撮影で気を付けるべき設定は基本的に以下の3つしかありません。
- 絞り(F値)
- シャッタースピード
- ISO感度
このほかにも様々な設定がありますが、基本的にこの3つさえ出来ていれば、誰でも綺麗に撮影できます。
夜景撮影に向いているカメラ
一眼レフやミラーレスカメラには色々な機種がありますが、どのようなカメラが夜景撮影に向いているのでしょうか。
まずは、夜景撮影に向いているカメラの特徴やスペック、レンズなどについて紹介していきます。
センサーサーズ
デジタルカメラは大きく分けて、一眼レフ・ミラーレスカメラ(ミラーレス一眼)・コンパクトデジタルカメラの3種類がありますが、本格的な夜景撮影に向いているのは一眼レフとミラーレスカメラです。
コンパクトデジタルカメラでも夜景や星空を撮影することができますが、センサーサイズが小さいので、描写性能には限界があります。
一眼レフやミラーレスカメラの中でもフルサイズのカメラが夜景撮影には向いています。
フルサイズカメラはセンサーサイズが大きいので、その分、光の情報をより多く集めることができます。よって暗い場所でも明るく撮影することができ、画質も良くなります。
ただしフルサイズのカメラは重く、値段も高くなる傾向があります。
ISO感度
センサーサイズの他に「ISO感度」も重要です。ISO感度は数値が高くなるほど暗い場所でも明るく撮影することができます。しかしその分ノイズが発生してしまうのが注意点です。
一眼レフやミラーレスカメラには、カメラ毎に異なる「常用ISO感度」という値が設定されています。
この数値の最大値が高いほど、ISO感度を上げたときノイズが少ない写真を撮影することができます。
カメラを選ぶ際には「常用ISO感度」をチェックしてみてください。
最近はAPS-Cサイズの一眼レフや、ミラーレスカメラにもISO感度が高い機種が増えてきました。
夜景撮影に向いているレンズ
夜景や星空を撮影する際、カメラのスペックも大切ですが、レンズも非常に大切な要素です。
写真はレンズによって決まるといっても過言ではないほど、レンズのスペックは写真の出来栄えに大きく影響します。
夜景を撮影する際には、なるべく明るいレンズ(F値が小さい)を使うのがお薦めです。
F値が小さいレンズの方がより多くの光を集められるため、写真を明るく写すことができます。
また、明るいレンズを使った場合は、写真の写りだけではなく、ファインダーを覗いた時にも明るく見やすくなるので、構図が決めやすくなるというメリットがあります。
マニュアル設定できるカメラがお薦め
夜景撮影をする際、F値の他に「シャッタースピード」を調整する必要があります。
風景撮影などでは、絞り優先オートで撮影することが多いかと思いますが、夜景撮影ではシャッタースピードも自分でコントロールする必要があるため、マニュアルモードでの撮影がお薦めです。ただし、慣れないうちは絞り優先オートでも構いません。
シャッタースピードが遅いほど、より多くの光を取り込むことができるため、夜景撮影ではシャッタースピードを遅くすることが多くなります。意図的にこのスピードを変化させ、好みの夜景撮影をするためにも、マニュアルモードが設定できるカメラを選びましょう。
ちなみに、夜景撮影や星空を撮影する際は基本的に、フラッシュを使うことはNGです。
フラッシュによって人工的で不自然な光が入ってしまうと、硬くメリハリのない写真になってしまうのでフラッシュやストロボを使うことは極力避けましょう。ただし、夜間の人物撮影などでは、あえてストロボの光を当てることで、被写体を浮かび上がらせるというテクニックも存在します。
夜景撮影に必要なアイテム
夜景撮影はシャッタースピードが遅くなるため、昼間の撮影に比べて手ブレが発生しやすくなります。ここでは、夜景を綺麗に撮影するために必須のアイテムと、あると便利なアイテムを紹介します。
三脚
夜景撮影では三脚が必須になります。
手振れ補正機能がついているカメラと明るいレンズを使い、かなりISO感度をあげれば、ある程度手持ちでも撮影することができますが、綺麗な写真を撮ることは正直、難しいです。そのため夜景撮影では三脚の使用が必須になります。
また、海辺や工場夜景の撮影では、周りに風を防ぐようなものが何もないため、常に風が強く吹いているという場所も多々あります。そのような場所であまり軽い三脚を使用すると、風によってブレが発生することがあるので、なるべくしっかりとした三脚を使用するようにしましょう。
三脚を使って撮影をする際は、カメラやレンズの手ブレ補正の機能は必ずOFFにしましょう。手ブレ補正がONになっていると、逆にブレの原因になってしまう場合があります。必ず設定を確認してください。
レリーズリモコン
三脚と並んで夜景撮影で必須ともいえるアイテムがレリーズリモコンです。これはカメラに繋げて、遠隔でシャッターを切ることができるアイテムです。
夜景撮影では、ちょっとしたことがブレに繋がってしまいます。カメラのシャッターボタンを押しただけでもブレてしまうことがあります。
レリーズリモコンを使うことで、カメラに触れることなくシャッターを切れるので、ブレの心配がなくなります。
レリーズリモコンは有線タイプでも無線タイプでも、ブレを抑えるという点では特に違いはありません。
レリーズリモコンが無い場合は、カメラのセルフタイマー機能を使うことでブレを防いで撮影することができます。
ペンライトやヘッドライト
三脚やレリーズリモコンなどと違い、必須のアイテムではありませんが、あると便利なアイテムがペンライトやヘッドライトです。
夜景や星空を撮影する際は手元が暗く良く見えないことがあるので、光源があると便利です。スマートフォンのライトでも代用することができます。
ただし、周りに同じように夜景を撮影している人がいる場合は、ペンライトなどの光源の扱いには注意しましょう。星空を撮影する際、家の明かりなど人工的な光があることを「光害」と呼びますが、ペンライトの光も光害になってしまうので注意してください。
レンズヒーター
旅行での撮影に必要なアイテム、あると良いアイテムでも紹介していますが、夜景や星空を撮影する際には、レンズヒーターがあると便利です。
夜間の撮影は気温が低くなりやすく、温度差によってレンズに結露が発生しやすくなります。そのような時に、レンズヒーターがあると結露防止に役立ちます。
レンズが結露してしまうと、最悪の場合、撮影を諦めなければならなくなるので、事前に対策をしておくことをおすすめします。
夜景を撮影するコツ
夜景に向いているカメラやレンズ、アイテムを紹介してきましたが、ここからは、実際に夜景を撮影する際の設定やコツを紹介していきます。
一眼レフで夜景を撮影する場合
まず一眼レフで夜景を撮影する際の設定ですが、できればマニュアルモードで撮影しましょう。絞り優先オートでも撮影は可能ですが、マニュアルモードでシャッタースピードを調整することで、より綺麗な写真を撮影することができます。
そして、ISO感度の設定ですが、できるだけ低い値(ISO100など)で撮影することをおすすめします。ISO感度を下げることでノイズを抑え、光を綺麗に写すことができます。
最後に絞り(F値)の設定ですが、レンズは絞りを開ける(F値を小さくする)と明るくなりますが、被写体はぼけやすくなります。そのため、夜景などの風景を撮影する際には、絞りをF8程度に設定しましょう。まずF8で撮影をしてみて、写り具合によって少しずつ調整をしていきます。
スマートフォンで夜景を撮影する場合
スマートフォンの場合、一眼レフやミラーレスのように絞りやISO感度、シャッタースピードなど細かく設定することができません。
しかし写真撮影用のアプリが多数あるので、そういったものを使用することで細かく設定できるようになります。
基本的な設定に関しては、一眼レフで撮影する際の設定とほぼ同じで問題ありません。
そしてスマートフォンで撮影する場合にも、三脚を使用することをおすすめします。一眼レフのような大きな三脚は必要ありません。スマートフォンを支えることができるコンパクトな三脚で十分です。
最近は、夜景撮影に強いスマートフォンも発売されているので、そのような機種なら、かなり綺麗な写真が撮影できます。
星空を撮影する
星空を撮影する際の設定ですが、イルミネーションなどの夜景撮影での絞り値(F8程度)と異なり、基本的に絞りを開けます。絞りはF2.8~F4程度で、シャッタースピードは10~30秒が基本の設定となります。
そしてISO感度は、800~6400の間で設定するようにします。まずは、ISO感度800で撮影をしてみて、撮影した写真を見ながら少しずつISO感度を上げていくと適正な値に設定することができます。
レンズは広角レンズや標準レンズがおすすめです。その際には、なるべく明るいレンズを選ぶようにすると撮影がしやすくなります。
また、魚眼レンズも星空の撮影とは相性が良いです。魚眼レンズは広角レンズよりも広い範囲を撮影することができ、星空を見上げたような、ダイナミックな写真を撮ることができます。
花火を撮影する
夜景撮影の最後に、夏の風物詩ともいえる花火撮影の方法について解説します。夏以外にも様々な場所で花火を撮影するチャンスがあるので、撮影のコツを覚えておきましょう。
花火を撮影する際の設定ですが、ISO感度はなるべく低い値(ISO100~200)に設定します。これは、花火が明るい被写体のため、ISO感度を上げすぎると明るくなりすぎてしまうからです。
この際の絞りの設定は、F11~16程度に設定しておきましょう。
そして、花火撮影のポイントは、マニュアルモードでシャッタースピードを「バルブ」にすることです。「バルブ」はシャッターボタンを押している間、ずっとシャッターを開いておく設定になります。花火が打ち上がると同時に、シャッターボタンを押して、花火が消えたらシャッターボタンを離すようにすると綺麗に撮影することができます。
花火の撮影時も三脚とレリーズリモコンは必須です。
カメラの設置や設定、ピントの調整は明るいうちに行っておきましょう。
明るいうちに花火の上がる場所にAF(オートフォーカス)でピントを合わせておき、MF(マニュアルフォーカス)に戻しておくと、撮影の際にピントがズレることがないのでおすすめです。
夜景撮影に挑戦してみましょう
夜景や星空撮影の方法やコツについて解説してきましたが、いかがだったでしょうか。
基本さえ押さえてしまえば、簡単に綺麗な写真を撮影することができます。
そして、夜の撮影では、昼間では見ることのできない素晴らしい世界に出会えます。
これを機に夜景撮影に挑戦して、息をのむような幻想的な景色を切り取ってみてはいかがでしょうか。
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