風景写真とは何が違うの?旅行で人物写真を撮影する際のコツ、基本知識
旅行では風景写真以外にも、大人数での撮影や、風景を入れて人物を撮影することもあります。
人物撮影は風景撮影と違って、ずっと静止している被写体を撮るわけではありません。特に被写体の人数が多ければ多いほど、ピント調節などの撮影テクニックが必要です。
この記事では旅先やイベント等、大人数での撮影から、人物撮影のコツを解説していきます。
旅行やイベントで大人数の写真を撮る際のコツ
大人数を撮るとなると普段よりもプレッシャーを感じてしまう人もいるのではないでしょうか。
大人数での撮影では最低限抑えておかなければならない点があります。
それは、当然ですがまず全員が写っていること、そして次に全員の顔にピントがあっていてブレが無いことです。
まず、大人数で撮影する際の基本を紹介します。
大人数撮影に最適なレンズは標準レンズ
画角が広い方が広範囲を撮影しやすいので、広角レンズを選んでしまいがちですが、大人数の人物撮影に広角レンズは向いていません。
理由は、広角レンズはレンズの特性上、画面の端が歪みやすい為です。
大人数での撮影時には画面いっぱいまで人が写ることがありますが、そのような場合、端のほうに写っている人が歪んで写ってしまいます。写真に写っている人全員を綺麗に撮影するには、標準レンズでの撮影がベストです。
写真が歪みにくいということ以外にも、標準レンズは人間の視界とほぼ同じ画角のため、カメラの位置や構図をスムーズに決める事ができる利点があります。
もし広角レンズで撮影して歪んだ写真になってしまった場合は、Photoshopを使えば歪みを補正することができます。しかしその機能を使っても完全に補正されるわけではありません。また修正にも手間がかかるので、できるだけ歪まないように撮影することを心がけましょう。
全員にピントを合わせる
大人数での撮影で気を付けなければならない点は、写っている人全員の顔にピントを合わせなければいけないということです。
風景写真や少人数での撮影と違い、大人数での撮影では、画面に写る全ての被写体が「メインの被写体」になります。そのため、ピンボケした写真にならないようにカメラの設定をしっかりと行う必要があります。
カメラの設定は、絞り優先オートかマニュアルモードにします。これは、絞り(F値)を自分で調整することによってピントをしっかり合わせるためです。この際、絞りの設定はF8前後に合わせましょう。
一眼レフはレンズの特性上、絞りを開ける(F値を小さくする)とぼかした写真になるので、逆に絞れば(F値を大きくする)ボケなくなると思われるかもしれませんが、絞りすぎると回折現象という現象が発生し、逆にぼやけた写真になってしまうので注意が必要です。
大人数での撮影は、なるべく素早く撮る
大人数での撮影時は、構図の決定から撮影までを素早く行うことも必要です。
あまり時間をかけすぎると、被写体の人たちの動きが目立ってきてしまい、被写体ブレの原因になります。
また観光地での大人数の撮影は、撮影スポットを占有するので、他の人の迷惑にならないよう素早く撮影しましょう。
スムーズな撮影のためには、事前に構図を決めておいたり、カメラの設定を済ませるなど準備をしておくとよいです。
三脚を使う
大人数での撮影には三脚を使いましょう。手持ちでの撮影には大きなデメリットがふたつあります。まずひとつが、集合写真なのに自分が写らないことです。そしてもうひとつのデメリットは、手ブレや、構図の水平のズレが起きやすいことです。
大人数での撮影に限ったことではないですが、人物を撮影するとき、被写体に話しかけるなどコミュニケーションを取ります。手持ちで撮影をしていると、それが理由でブレが起こりやすくなります。
風景写真や少人数の人物写真よりもピントがシビアな大人数での撮影では失敗する確率が高くなるので、なるべく三脚を使って安定させた上で撮影するようにしましょう。
ただし、三脚が禁止されている観光地は少なくありません。また、人混みの中での三脚の使用は向いていません。他人の迷惑になるばかりか、人がぶつかってカメラが転倒し破損する恐れもあります。そのような時は無理に三脚は使用せず、手持ちで撮影しましょう。
レリーズリモコンを使ってみよう
大人数での撮影時にお薦めのアイテムに「レリーズリモコン」があります。
レリーズリモコンは遠隔でシャッターを切ることができるものですが、大人数撮影の際には特に、便利なアイテムです。
レリーズリモコンには大きくふたつのメリットがあります。まずひとつめは、三脚とレリーズリモコンを使えば自分も写真に写れること。
三脚とタイマーでも可能ですが、いつシャッターが下りるか判らないので、表情が硬くなったり、被写体の人が動いてしまって被写体ブレを起こすこともあります。
レリーズリモコンを使えば、シャッターを切るタイミングを自分でコントロールできるので、被写体の人たちに「はいチーズ!」と声を掛けやすくなります。それによって、被写体の人たちの表情が硬くなるのを防ぎ、被写体ブレを起こすことも少なくなります。
人物を入れた風景写真を撮るコツ
「人物を入れた旅行写真を撮るコツ」についての基本は、こちら(風景を撮るコツ)でも少し解説をしていますが、ここではもう少し踏み込んで説明したいと思います。
人物を入れて風景を撮る際に、気を付けた方がよい構図について、です。
風景を背景にして人物を撮影する際、やってはいけないとされる構図がふたつあります。まずひとつが、「串刺し構図」と呼ばれるものです。
これは被写体の人の頭から何かが生えているように見えてしまう構図のことです。例えば、背景の木や建物が頭と被ってしまって、頭から木や建物が生えているように見えてしまう写真がそれにあたります。
そしてもうひとつ、縁起の悪い構図と言われているものが、「首切り構図」です。首切り構図は、人の首と横に走る線が重なってしまう構図で、例えば水平線が首を横切ってしまっているような写真のことを指します。
この首切り構図は縁起が悪いと言われている他にも、写真を見た人が無意識に、被写体ではなく線に注目してしまうため、人物撮影では避けたほうが良い構図と言われています。
海や橋、地平線などを背景に撮影した際にこのような構図になりやすいので注意しましょう。
自分を入れた写真撮影を楽しむ
旅行での思い出を残しておくために色々な場所で沢山の写真を撮影しますが、数年後にその写真を見ると、意外にも自分がほとんど写っていないという事に気づく人も多いのではないでしょうか。
特に家族旅行では「子供の写真は沢山あるけど、自分が子供と一緒に写っている写真がほとんど無い。」というお父さんやお母さんも多いようです。
カメラを持っていると、どうしても撮影する方に集中してしまい、自分を写すということに気が廻らないものです。
被写体を撮影するのが写真の基本ですが、自分を入れた写真を撮影するということもひとつの楽しみにしたいです。
スマホと自撮り棒で手軽に自撮りをする
自撮りが、スマートフォンと自撮り棒の利用でとても簡単に撮影できるようになりました。
自撮り棒は、スマートフォンなどを棒の先端に取り付けて、少し遠目から撮影できるアイテムです。最近の観光地では当たり前のように見かけるようになりました。
自撮り棒を使って撮影する際のコツは、自撮り棒の「棒」が写らないように撮影すること。棒が入っているのもコミカルで良いですが、棒が映らなければ人に撮ってもらったような自然な写真になります。
自撮り棒には様々な種類がありますが、その中でも三脚としても使える自撮り棒がお薦めです。
カメラ(スマホ)を置いて自分たちの動画やタイムラプスを撮る定点撮影をしたい時でも別途三脚を持っていく必要がなくなり、荷物がコンパクトになります。
旅行荷物を少なくするに越したことはないので非常におすすめのアイテムです。
ただし、三脚はカメラの重さにより強度を選ぶ必要があります。自撮り棒は中型以上の一眼レフなどには使用することができません。対応重量に注意してください。
自撮り棒の注意点
自撮り棒を使っている時はどうしても撮影に集中してしまい、周りが見えづらくなってしまうため、人にぶつかってしまう危険性が多々あります。
観光スポットの中には、三脚だけではなく、自撮り棒の使用が禁止されている場所もあるので、よく確認をしてから使用してください。せっかくの楽しい旅行でトラブルにならないためにも、自撮り棒の使い方には注意が必要です。
一眼レフと三脚で本格的な自撮りをする
スマートフォンと自撮り棒での撮影の他に、一眼レフと三脚を使って自撮りをするという方法もあります。この方法のメリットは、スマートフォンでの撮影よりも本格的な写真が撮れることです。
三脚を使って自撮りをする際には、セルフタイマーを使って撮影をしますが、前述したレリーズリモコンがあると非常に便利です。タイミングを自分でコントロールできるので、セルフタイマーと比べて柔軟に撮影をすることができます。
また、セルフタイマーの場合は、1枚撮ったらカメラに戻って、もう一度セルフタイマーをセットする必要がありますが、レリーズリモコンなら連続して撮影することも可能です。
最近はスマホに専用アプリをインストールすることで、リモコンとして使用できるものも増えてきました。リモコン機能だけでなく、撮影の構図を、まるでカメラのファインダーを覗くように、アプリで確認できます。新しいカメラの良い点は、このような機能が充実していることでしょう。
沢山の思い出を残しましょう
旅先やイベントで大人数を撮影する際の基本的な知識やコツ、人物撮影の構図について説明しましたがいかがだったでしょうか。
また、旅の思い出に自分を含めた写真を撮る方法も記載しました。
今まで、大人数の撮影は人任せだったという人も、基本を抑えれば思っていたより簡単に撮影をすることができるようになります。
また他人や風景ばかりで自分の写真を撮らなかった人も、これを機に自撮りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
写真は撮って終わりではなく、何年後かに見返したとき、その時の情景を思い出させてくれるものです。ぜひ旅の思い出の一枚に、その時の自分の写真も入れてあげてください。きっと素敵な思い出になると思います。
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